エンドレスネズミ組手 -後編-
(中編の続き)
最初はキッチンを中心に活動を展開していたネズミたちは徐々にリビングにも積極的な進出をしてくるようになりました。
横になって寝れるタイプのソファーに寝そべっていると嗅ぎ慣れた忌まわしき臭いに気づき、ソファーに耳を当てるとカリカリという振動音が。なんとソファーの中の空洞スペースも拠点にしてたのです。
その時はなんとか追い払ったものの、ここは既に拠点とみなされてしまったようで、自分が上にいるにも関わらず、その下にいるということがちょこちょこありました。(現在進行形)
今ではネズミが下にいるときはなんとなく臭いでわかるようになりました。
それどころか最近は(自分的には)聖域だったはずの寝室にまで侵入してくるようになり、寝てる近くでガサガサやられるので安眠妨害といいとこです。もはや安心して横になれる場所はこの家にはなくなりました。これが外務省の安全渡航情報なら我が家全域が赤くなってます。
まあ別に寝室も特段入ってこれないように対策とかしてたわけじゃありませんが。
自分の家は夜停電しがちで夕方から寝るまで電気がないままということも少なくないのですが、今となっては停電中には自分が近くに居てもネズミが鳴いていることもしばしば。
既に世帯主はネズミに取って代わられたということでしょうか。それなら家賃は払っていただきたい。
ちなみにカメルーン人の中で一般的なネズミ対策は、食べ物に毒を混ぜて仕留めるというもの。
マルシェ(市場)などに行くと、よくネズミ対策グッズが売っています。
よくあるものとしては、オーソドックスなネズミ捕り(バチンとなって捕まえるやつ)、ネズミホイホイ、食べ物に混ぜる用の毒など。
このネズミ用の毒、何が恐ろしいって毒を食べたネズミはだんだん乾燥していって最後にはミイラみたいになって死ぬというところ。
どういう仕組みなのか分かりませんが、一度マルシェで見本ということでミイラネズミが展示してあったので、たぶんそうなるのでしょう。もはや呪いでしかない。
カメルーン人がよく言う「食べ物に仕込む毒」がこのミイラの呪いのやつなのか、はたまた別物があるのかはまだわかりません。
↑これがネズミ用の毒(というか乾燥剤というかなんというか)。
死体が腐敗しないようにするために、乾燥して死ぬようになっているという配慮の行き届いた呪い薬。
ちなみに袋に書いてある"dératisation"という単語は「ネズミを駆除すること」というピンポイントな意味らしく、ネズミとの戦いの歴史を感じます。
といった文章を、今も何かを派手にガサゴソさせているネズミの鳴き声を聞きながら書いています。
ちなみに今日はネズミの主要な出入り口になっているキッチンの壁の穴のところに新品の金タワシを突っ込んで封印してやりました。意味もなく達成感に満ち溢れています。
ちなみに自分はディズニーランドは大好きです。
-完-
エンドレスネズミ組手 -中編-
(前編の続き)
ちなみに、ネズミが侵入することの何がダメかというと、食べ物を食べられるなどの被害はもちろん糞尿による汚れや臭い、感染症などのリスクがあるほか、物を散らかされるという物理的な迷惑さがあります。
これらは知識として普通に知られていることかもしれませんが、実際にこれらの被害を経験すると意識がググッと変わります。こいつらは自分の家から駆逐しないといけない、と。
アフリカに来て人生観が変わるとか言いますが、自分の場合はネズミ観が変わりました。
やつらの凄いところは、死角の少ない物陰から物陰へと無駄のない移動をする機動力のみならず、「ここに隠れてるな!」と思ってガサガサやってもバレないようにギリギリまで静かにやり過ごすことのできる隠密行動っぷり。そして「ここにはいないのかな」と思って踵を返すと、その隙を衝いて移動し外に逃げるという手口。その動きたるや正に忍び。敵ながら天晴れである。
ネズミ小僧(元ネタの義賊の方)とはよく言ったものだなとほんと感心します。別にネズミみたいな顔してるからってわけじゃないんだね。たぶん。
そんなネズミなので、ボサッとしてると隠れていることに気づかないことも多々あるため、キッチンで物音がしたら厳戒態勢で索敵をして追い回すというトムとジェリーごっこを数日続けたあと、首都でネズミ用トラップの粘着シートを買ってきました。
これはゴキブリホイホイよろしくベタベタのシートをネズミの通り道に仕掛けるとネズミがホイホイと引っかかるというシンプル極まりないアイテムです。しかしこれがホイホイとよく引っかかるんだ本当。
↑ネズミホイホイ。AUTOMATIC。
黄色い部分がベタベタします。たまにトカゲみたいなやつもホイホイされてます。
これを寝る前に仕掛け、翌朝見てみるとハツカネズミ大の3匹が捕まってました。全然可愛くもクソもありません。
こんなに侵入していたのか、とドン引きしつつ捕まった3匹のネズミとともにネズミホイホイを外のゴミ捨て場に捨てたその日の晩、キッチンで物音が。
念の為、複数枚買っていたネズホイを新たに仕掛け就寝。翌朝見るとまた1匹ホイホイされている。またか、と。
しかしその晩再び物音が。
以下、繰り返し。(捕まえたやつはきちんと仕留めてます。)
首都に上がるたびにネズホイをいくつも仕入れ、もはや捕まっているのが1匹だけでは全然獲れてないなと思うくらいには複数匹を捕らえることが当たり前になっているにも関わらず、毎日毎晩この騒乱は終わらないという、なんという非情な世界。
こうして今に至るまで文字通り鼠算式に量産され続けているネズミとのエンドレスな組手を繰り返してきました。イメージではピクミン2でクイーンチャッピーが産み続ける子チャッピーをひたすら倒し続けてる感じです。わからない人はぜひやりましょうね、ピクミン2。
-続-
エンドレスネズミ組手 -前編-
みなさんは「エンドレス組手」というものを知っていますか?
みんな大好き大乱闘スマッシュブラザーズというゲームの中にある遊び方で、
無限に湧いて出てくる雑魚キャラを文字通りエンドレスにひたすら倒していくというもの。
今、自分はそれを現実にやっているような状態です。
実は以前にバチェンガの家から隣町のオバラというところへ引っ越しをしました。
今の家は前のバチェンガの家に比べると、家の中にシャワーがある(水は来ない)、家の中に便器がある(水は来ない)、家の中にシンクがある(水は来ない)、家に窓が複数ある(風が通る)、キッチンとリビングが別々の家に分かれてない(ラク)などなど、利便性が怒涛の勢いで向上しました。
↑ここの3階の右側が新・我が家。
そんな新・我が家なのですが、唯一にして最大の問題があります。
それはネズミが出るということ。
ネズミが出ること自体、多くの協力隊員が経験しているはずで決して珍しいことではないのですが、もうね、それでも言いたい。
もう毎日でます。それはもう、文字通り。
以前のバチェンガの家で、一度ネズミにひどくやられたことがあり、それ以来「ネズミは自分の敵」と本能にインプットされたのか、ネズミを見るとアドレナリンが出るようになりました。
自分の中では完全に駆逐対象となっています。
今はバチェンガの一件以降、食べ物やその他被害にあいそうなものは全て蓋つきボックスなどに閉まっているため直接的な被害はありません。
しかし。それでも。やつらは来るのです。そりゃあもう。
今の家は集合住宅の3階(最上階)なのですが、この家に引っ越してきた翌朝未明、屋根(というか屋根裏)の上を走り回る動物の物音で目が覚めました。それも複数以上の走る音で。
その時点で既に、これから始まる戦いの気配を感じていました。頭の中ではホラ貝がブォゥーみたいな感じで鳴ってます。音を文字にするって難しい。
そこからは来るべき全面戦争に備え、食べられそうなものが外に出ていないかを再度確認し、死角や寝ぐらになりそうな場所は極力減らすなどの調整を行い、万全の布陣で構えていました。
数日後、キッチンでどこかで嗅いだことのある、いわば嗅ぎ馴染みのある臭いを感じました。ゲゲゲの鬼太郎なら髪の毛の妖怪アンテナがビンビン反応しているところです。
少しキッチンを観察すると、そこには憎きネズミのフンがいくつも。
そう、既に我らは侵入を許していたのです。
ドンッッ!!
-続-
カメルーーン語
フランス語を話す仏語圏と英語を話す英語圏はエリアが分かれており、
10の州があるカメルーンの中で、北西州・南西州という一番左端側に位置する2州以外は全て仏語圏となっています。
↑黄色のエリアが英語圏
(出典:https://www.kasumigasekikai.or.jp/2017-10-11-1/)
なぜ2つの言語エリアがあるのかというと、植民統治時代の名残であり
フランスが統治していたエリアは仏語圏、イギリスが統治していたエリアは英語圏となっているわけです。
地図からも見てわかる通り英語圏はマイノリティなのですが、多数派である仏語圏出身の歴代大統領の下(歴代といっても1960-1982年の初代、1982年から現在に至るまで現職の大統領の二人しかいませんが)、
政府は仏語圏の人々が優位となる政策を繰り返すなど、英語圏の人々に対する冷遇が続いており、
そのような経緯から現在は英語圏の独立・抗議運動が活発化し、英語圏では治安部隊との衝突などで死傷者が出るような痛ましい事件も度々報道されています。
とはいえ、英語圏出身の人が仏語圏に移住して生活していることは結構一般的なようで、
知り合いに「どこ出身?」と聞いたら英語圏出身者だったというケースは結構ザラにあります。
(上記の治安問題や仕事を求めて移住したという理由が多い気がします)
少なくとも日常レベルに於いては、仏語圏・英語圏の出身者同士の間には敵対意識は感じられず、
ごく普通に一個人同士としてコミュニケーションをとっています。(あくまで自分の体感の話ですが)
また、カメルーンでは学校教育でフランス語、英語、各地域の現地語の3言語を教えていることなどもあり
仏語圏であっても英語の通用度は高いです。
(「こいつフランス語通じねえな」と思われたら英語に切り替えられることもあります。悔しい…)
そんな場所なので、カメルーンではフランス語と英語が入り混じった、
いわゆるピジン語と言われるようなものも存在しています。
その他にも、フランス語だけとってもカメルーン独特の言い回し等が存在し、
我々カメルーン隊員の間ではそれらをカメ語と通称しています。
以下例文。
・どうする?
仏語:On fait quoi ?
カメ語:On do quoi ?
(仏語のfaitは英語のdoに相当)
・病院に行きます。
仏語:Je vais à l’hopital.
カメ語:Je go à l’hopital.
(仏語のvaisは英語のgoに相当)
といった具合。
半ばトゥギャザーしようぜ的なノリで英単語を織り交ぜているため、
我々日本人的には「ルー大柴が沢山いる」と解釈するのが分かりやすい気がします。
つまりピジン語とはルー語でした。
ただ、カメルーン人はフランス語だけを喋るときはフランス語、英語を喋るときは英語、と場面に応じて使い分けているようで、
カメルーン語を使うときは親しいカメルーン人同士で話す時のくだけた話し方といった趣らしいです。
実はちゃんと空気を読んで使いどころを弁えている。ルー大柴と一緒ですね。たぶん。
なので自分がカメルーン語を喋ると、「おぉ!カメルーン語だ!わかってんじゃん!最高じゃん!いいやつだな!天才だな!」
と、流石にこんなには褒めちぎりませんが、とても喜んでくれます。
つまりこういうことでしょうか。
「親しき仲にはルー語あり。」
お後がよろしいようで。
半日まるごとクッキング 〜オコック〜
カメルーンの食事(通称:カメ食)には現地の食材を使った様々な料理があります。
やはり外国に行ったら、現地の食材を使った現地の食事を食べて、現地の人と感覚を共有したいもの。
たった2行だけで現地現地と既に4回も使ってしまうくらい、食事を通じて現地の文化を理解することは楽しみの一つです。これで5回目。
ましてや任地は日本のように食材の種類が豊富なわけではありません。
それならば現地で手に入る食材を活かして如何に美味しい食事を作れるか、未知の食材や料理の可能性を探求してみようじゃないか!
などと、自分の中のポジティブが無駄に張り切っており、未知の食材や料理を発見するたびにとりあえず一回食べてみよう精神で今を生きています。
そんなフロンティアスピリッツの下、毎週日曜日を「(自分にやる気があれば)隣人にカメ食を教わるデー」として制定し、カメ食の作り方を覚えようと野心に燃えています。
ちなみに任地生活が始まりまもなく4ヶ月が経過しようというところですが、既に!3回も開催しています。野心(というかやる気)というものは気まぐれですね。
前置きが長くなりましたが、今回はその3回の成果のうちの1つ、「オコック( Okok / L’Okok )」という名のカメ食のレシピをご紹介致します。
これは「オコック」という名の葉っぱを使った料理で、葉っぱの名前がそのまま料理名にもなっています。
(オコックという呼び名はカメルーンローカルなようで、学名はGnetum afiricanumというらしいです。何の助けにもならない情報ですね。)
味付けは砂糖のみと甘いのですが、カメルーンではメインの食事として食べていて、自分もかなりハマっています。
露店などで鍋に入れて売られている様子もちょくちょく見かけるような比較的身近なメニューです。
オコックの葉はマルシェなどで簡単に手に入り、金額も安いです。マダムたちがオコックの葉を小さい包丁で器用にスライスして売っています。
マルシェではオコックの他にも緑の草葉系の食材を売っていることが多く、地面にシートを引いて売っているタイプの露店の端に見慣れない草の食材を見かけ「これは何?」と聞いたら「ただの雑草だよ」と返ってきたことがあります。紙一重でした。
以下、レシピです。
◾︎材料(自分が三日三晩オコックを食べ続けることになり、尚且つ近隣住民の分まで賄えちゃう分量)
オコック
・ オコックの葉 たくさん
・落花生 たくさん
・パーム椰子の実 たくさん
・砂糖 ドバッとお好みで
付け合わせ
・マニョックorバトン(主食として)
◾︎レシピ
1. オコックの葉を柔らかくなるまで蒸す。蒸してから臼で磨り潰す。(↓磨り潰したオコック)
2. 落花生は煎り、薄皮を取ってからグラインダーでペースト状にする。(粗いピーナツバター的な状態)
3. パーム椰子の実は鍋で煮た後、実を臼で潰してからザルに出し、いくらか水をかけながら実からジュースを絞り出す。その後、ジュースは鍋に入れ再び火にかける。(↓パーム椰子の実。赤い。)
4. ジュースが煮立って泡が一通り出終わったら砂糖と落花生ペーストを鍋に入れる。(↓砂糖と落花生ペーストを入れ、鍋が落花生色になっている図)
5. しばらく煮続けると水分が飛びペースト感が出てくるので、その時点でオコックを鍋に投入し満遍なく混ざるようにかき混ぜる。(↓オコックを鍋に入れた瞬間の図)
6. 混ぜながら更に煮詰めるとオコックの色が浸透してくる。(↓マグマのような泡の吹き方をしている図)
7. パーム油が上に浮いてきたら完成。(↓パーム油の赤が映える図)
8.バトンドマニョックとともにいただく。(↓一緒に撮り忘れたので別撮りの図)
完成したこのドロっとしたオコックをバトンもしくは蒸かしたマニョックとともに食べるのがスタンダード。
調理したオコックの葉に苦味はほぼなく、比較的ヨモギの感覚に近いかもしれません。お味は砂糖と落花生の甘みとオコックの草味が絶妙にマッチしていて、バトンと食べるとじわじわハマる美味しさ。
調理開始はお昼の12時半頃で、それをお昼ご飯として食べようと思っていたら完成したのは16時半頃でした。調理時間は約4時間。晩御飯でした。
しかも午前中を食材調達に費やしているため、実質1日がかりで作っています。日本では磨り潰す系の工程のものはミキサーなどでサクッと終わってしまうかもしれません。
なお、しれっと登場している「バトン(バトンドマニョック)」とは、マニョック(キャッサバ)を発酵させてから何かしらしたらできるというシロモノで、歯切れの良いモチモチ感があるものの、その独特の発酵臭のために好まれなかったりもする一品です。
自分はそれまでは特に好きでも嫌いでもありませんでしたが、この時大量生産されたオコックのお供に毎日食べていたら病みつきになってしまいました。ちなみにバトンを包んでいる葉っぱはバナナの葉。
ぜひ皆様も(それっぽいものを)作ってカメルーンを、バチェンガを、感じてみてください。
油断
青年海外協力隊として、2年間日本を離れて生活させてもらう機会を得ました。
せっかくなので日本ではあまりできないことを沢山やりたいなと思い、任地に来てからはとりあえず血迷ってヒゲを育てています。
そして現在はヒゲの毛並みを整えられるくらいには伸びました。人生最長記録です。
ヒゲが伸びると今までにない感覚で、口にヒゲが入ったり、あ…鼻毛出てるかも…と思ったら実はやや上向きのヒゲが鼻に当たっているだけだったりと、とても新鮮でした。ヒゲって色んな方向に向かって伸びるんですね。
話は変わりますが、以前にも書いたとおり我が家は長屋形式であり、大抵の住民は日中は家の前の長椅子に座っていたり、子供たちは外を走り回っていたりするので、
自分が帰宅する際は誰かしらの住民と高確率で顔を合わせます。
↑家の前の様子。この長屋の右端が自室で左端にキッチン部屋があります。この写真の長椅子や屋根付きのスペースで住民たちはのんびりしたり家事をしています。そして残りのスペースは全て子供たちの遊び場に。
そして自分が何か買ってきたものがあると大抵「何買ったか見せて。私にもちょうだい。」の2コンボが炸裂し、あげなかったら容赦無くケチの烙印を押されます。
しかも割と根に持たれ、「あんたのことは家族だと思ってるのにいつも物をくれないよね。なんて薄情なやつなの。」といった旨の恨み節を事あるごとに聞くことになります。家族の絆は常に崩壊の危機に晒されています。
そんなわけで、当初は買ったものをリュックの中に入れることで気づかれないようにしていましたが、今はリュックの膨らみだけで買い物したことを見抜かれます。なんということでしょう。
なので、できるだけ買い物から帰ってきたことに気づかれないように、素早く静かに部屋に戻ることが常に要求されます。
家に帰るたび、警戒しながら住民の目を盗み部屋に入る。メタルギアをしてる感覚です。
話は戻りますが、そんなこんなでこれからどれくらいまでヒゲを伸ばせるかなーと思っていた、ある日のこと。
外出終わりにお店でパンを買い、例の2コンボを避けるため、食べ終えてから家に帰ってきました。
ところが家に帰るやいなや、隣人から「何食べたの?なんで私の分はないの?」と怒涛の攻勢があり、なぜか買い食いしたことがバレていました。
食べてるところを誰かに見られたのかなとか、匂いでわかったのかなとか色々と瞬時に頭を駆け巡りましたが、単にヒゲにパンのカスがついていたようです。
ヒゲは剃ることにしました。
節水考
以前書いたように、任地であるバチェンガには水道がありません。そのため、家には水回りの設備(風呂・トイレ、シンクや手洗い場)ももちろんありません。
日々の生活に必要な水は毎日ハンドポンプ式の井戸から水を汲むことで賄っています。
ある意味断水の心配とは無縁の生活といえます。
↑こちらがハンドポンプ式井戸。いつもお世話になっております。ポンプのキコキコ部にチェーンのようなものが見えると思いますが、それが鍵。
井戸までは大きなバケツを持っていくか、10リットル入るミネラルウォーターの空のペットボトル(ビドンと言います)を2つ持っていき、家に溜めています。
しかし、そこの井戸は普段は鍵がかけられていて、1日に1度だけ定刻に開放され水を汲むことができます。しっかりと管理されています。
明確には定められていないものの、1日に井戸から汲める水量はなんとなく決められており、大きなバケツ1つ或いはビドン2つまでという上限が暗黙の了解としてあります。
従って、できるだけ毎日欠かさず水を汲みにいき家に溜めておく必要があるのですが、日によっては井戸が開放されなかったり、定刻外のタイミングで開放されていて自分の知らないうちに終わっていたりと、必ずしも毎日水が汲めるとは限りません。
また、一般的な井戸(貞子が出てくるタイプ)と比べ、ハンドポンプ式の井戸は水質は良い方ですが、雨の後に水を汲むと少し茶色く濁っていたりするので必ずしも水質は一定ではありません。
↑これらがビドン。大きいペットボトルです。そして右2つが雨後に汲んだ水。呼気を吹き込んだ後の石灰水って感じです。懐かしい。
なので万が一に備え、日々節水を心がけています。
任地赴任当初は水の配分がよくわからず、一度の行水で水を多く消費してしまい、次の日の分が足りないなんてこともありました。
現在は節水技術が徐々に向上してきていて、スポンジを駆使することで効率的な水の配分を実現することに成功してきています。
また、現在は一度の行水でおよそ5L(ビドンの半分)程度を使用しているので、より少ない水で行水できるよう自己研鑽に励んでいく所存です。
↑貯水している水を緑のバケツに移し替え穴トイレに持っていき、水色のチビバケツを巧みに駆使して行水します。
とはいうものの行水の他にも洗濯・調理・皿洗い・手洗い等々、日々水を必要とすることがあるため、
チビチビ、チョロチョロ水を使用することを心がけているものの、水不足に陥るのではないかという危機感が常に頭の片隅を占領しています。
そこで、現在カメルーンでは雨季が近づき大雨がよく降っているため、雨をシャワー代わりに浴びたら良いのではという発想に至りました。
節水できるどころか、チョロチョロ水ともオサラバし、景気良くジャバジャバと体を流せる。
なんといいアイデアでしょうか。
しかし、それを思いついた瞬間は忘れていたものの、雨季に降る雨は大抵は台風並みの強風と雷を伴う豪雨です。
我らが穴トイレ付きユニットバスは露天式のため、行水中に傍に置いている石鹸とかタオルとか余裕で吹っ飛ばされることに気づきました。
それどころかそこらへんの家のトタンとか木片とかも飛んできそう。
というか以前、木片が飛んできてました。
身の危険を感じるのでやっぱりやめときます。
まあ、バケツに雨水を貯めておけばいいだけの話ですが。