てやんでえカメルーン〜青年海外協力隊の滞在記〜

青年海外協力隊2018年度3次隊。カメルーン派遣。コミュニティ開発。Les rapports du Cameroun.

メメント・モリ

 


以前書いたようにバナナアイスを作っています。

 


アイスは固める工程の際に時々かき混ぜると空気を含んでふんわりとした食感になるようで、時々キッチンでいそいそとかき混ぜています。

 

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↑最終的に固まりきったらこうなりました。見た目はともかく、シャリシャリして美味しい。

 

 

そんなある時、外から大家マダムや子供達が大騒ぎする声が。

 


カメ人たちは普段から結構語気も強く、エキサイトした様子で大声で話すことも多々あるため、いつもの事と特に気にしていませんでした。

 


ところがその声は近づいてきて、閉めていたキッチンのドアがバーンと開きました。

 


入り口にはマチェットと呼ばれるナタを持ち殺気立っている大家マダムの姿。さながら八つ墓村

 


その口から「Siautu!!Siautu!!」と繰り返される謎の言葉。

 


一瞬のうちの情報量の多さに頭がついていかず、マダムの殺気に怯えつつただただアイスをかき混ぜながら静観します。

 


そして、キッチンにある貯水用のバケツを勢いよく退けられ、そこにトカゲのような生き物が姿を現しました。

 


刹那、迷いなく振り下ろされるマチェット。

 


切り落とされるトカゲの首。

 


念を入れて切り刻まれる体。

 


切り刻まれるたびにコンクリートの殺風景な床に広がるトカゲの鮮血。

 


体から切り離され、横でピチピチ跳ね回る尻尾。

 


さっきまでアイスをのんびりかき混ぜていたキッチンが、突如として惨劇の現場になるというあまりの落差に

トカゲの尻尾って本当に独りでに動き回るんだなあ、このトカゲはなぜ殺されているのだろう、食べるのかなあ、

などと現実逃避気味に取り留めのない思考が広がるばかり。

 

 

 

トカゲの死地が我がキッチンとなったことを見届けたあと、なぜ殺されたのかと聞いたところ「蛇みたいに毒を持ってるんだよ。」との回答が。

 


以前、見かけた蜘蛛について「これは毒蜘蛛?」と聞いたら「そうだよー」くらいにしか反応してなかった彼らが

血相変えて追いかけてまで駆除しようとするくらいなので結構危ないやつだったのかもしれない。

 


人はいつ命を拾っているかわからないものだなあ。とキッチン床に残されたトカゲの血を見つめながらしみじみ。

 


その後、トカゲは速やかにどこかに運ばれ、キッチンの床も雑巾で拭いてもらいました。


聞いたところ、トカゲは穴トイレの中に葬られたそうです。トカゲの墓にもなる穴トイレ、優秀。

 


さらに聞いたところ、このトカゲと思しき生物はトカゲではなく、現地語でSiautuと呼ばれるものらしいです。フランス語的に言うとzard serpentというらしい。(直訳するとヘビトカゲ。ですがこれもローカルな呼称と思われる。)

 


フランス語で正式にはなんと呼ぶのかわからず、SiautuとLézard serpent両方で検索しても引っかからないので結局正体は分からずじまい。

 

すぐに悲惨な状態になってしまったため写真に収めることもできず。


ちなみに食べるわけではありませんでした。

 

 

 

我がキッチンで息絶え、穴トイレに眠るSiautuに合掌。

 

 

 

※2019/3/26 追記:

 

この生物の正体が判明しました。

 

協力隊同期の知り合いの専門家によるとフェルナンデススキンクという種のトカゲのようで、毒は持ってないらしいです。

むしろ日本では愛玩用として販売されているみたい。

 

たしかにネット調べてみると全く一緒の姿形をしています。そして生息域にカメルーンも含まれていたので、ほぼ間違いなさそう。

 

トカゲだし毒を持ってないということで、彼らの言う情報と異なってましたが、毒を持っているというのは彼らの思い込みなのか、或いはよく似ていて毒を持っている別の種類がいるのか。

 

真相は噛まれてみないとわかりません。

 

ちなみに昨日も別の個体がキッチンに出現したため写真に収めることができ、それで正体判明に繋がりました。

 

しかし、その個体もまた我が家のキッチンから天に召されました。

 

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↑これがキッチンに出現した生物。ツヤツヤしていて体の横に赤い模様が見えます。壁に貼り付いています。